車に乗ったら外気温が42°…(9/11現在)
厳しい暑さにびっくりです
水分しっかり摂って下さいね!!
こんなんワイヤーカットで作ってみました
するりと埋め込むようにハマり、まるで一つの金属のようにすき間なくぴったりとはめこむことができます。
ワイヤーカットの繊細で、精密な技術が為せる技なのです。
◆ワイヤーカット放電加工とは
真鍮(しんちゅう)製のワイヤー線に電流を流して金属を綺麗に精密に切る技術です
ただ切るだけ?と思われるかも知れませんが、精密に切るという部分が重要です(^^)d
cm、mmの単位よりも細かい、数μ(ミクロン)の単位(1μ=1/1000mm)の加工をします。
ワイヤーカット放電加工の精密性は信頼度が高く、沢山の業界で利用されています。
一般的にはあまり知られていませんが、家電製品の部品、携帯電話の金型部品、航空機部品、刃物製品、釣具部品、ヒートシンクなど熱交換器の部品、高級オーディオ筐体、鉄道模型など、皆さんが生活される中で身近にあるいろいろなモノや場面で活用されています。
電気ノコギリなどで硬いモノを切ってみると、摩擦で形通りに切れなかったり、刃がボロボロになったり、切屑がたくさん出たり・・・といった経験がおありでしょうか?
でも、それではお客様から御代をいただく商品として不合格ですね。
そこで活躍するのが、ワイヤーカット放電加工 です (^^)d
ワイヤーカット放電加工は、ワイヤーカット放電加工機と言われる工作機械を使用し、電極となるワイヤー線に電流を流して、鉄やステンレスなどの導電性(電流の流れる)の素材を図面に合わせて、平面もしくはテーパー(傾きを付けて切る)で精密に切る事が出来る加工です。
普段、弊社で使用しているワイヤー線の太さはφ0.20mmとφ0.25mmです。
最小使用径はφ0.10mmですが、あまり一般的ではありません。
上の写真はワイヤー線の細さを説明したくて爪楊枝と比較してみました(笑)
弊社ではファナック製ワイヤーカット放電加工機7台(上)と三菱電機製ワイヤ放電加工機2台の
計9台を保有しております。
写真では小さく見えますが、実は2.4m×2.6m高さ2.5mほどある大きな工作機械です。
ワイヤーカット放電加工機の種類について
ワイヤーカット放電加工機は上下で繋いだワイヤー線に電気を流して加工槽の中で加工します。
水の中で加工する水槽のワイヤーカット放電加工機と、油の中で加工する油槽のワイヤーカット
放電加工機の2タイプが一般的です。
なぜ、水槽(油槽)の中で加工をするかと言うと、そのままの(空気に触れた)状態で加工すると
放電したワイヤー線が1000℃を超える熱を持つ為ワイヤー線が熱で切れて加工出来ないからです。
加工時には貯めた水(油)だけでなく繋がったワイヤー線の上下にあるノズルからジェット水流を
吹きかけながら冷却する構造になっており、同時に加工くず(スラッジ)の除去も槽の中で
行っています。
それゆえ、ワイヤーカット放電加工機の加工槽の大きさが、加工出来るサイズに比例します。
弊社の保有機械の説明に載せている移動量が加工槽の目安になります。 フジムラの保有設備
水槽のワイヤーカット放電加工機と油槽のワイヤーカット放電加工機の違い
水槽・油槽のそれぞれにメリット・デメリットがあります。
・水槽のワイヤーカット放電加工機のメリット
- 加工速度が速い
- 加工槽から液漏れしても水なので取り扱いが簡単である(エコである)
- 水なので火災の心配が無い(消防法的な届け出が不要)
・水槽のワイヤーカット放電加工機のデメリット
- 水の中の加工なのでサビが皆無では無い(サビにくくする為の水質改善は常時行っております)
・油槽のワイヤーカット放電加工機のメリット
- 水に比べて放電ギャップが一定なので、繰り返し精度が安定している
・油槽のワイヤーカット放電加工機のデメリット
- 加工速度が遅い
- 加工槽から液漏れした場合の取り扱いが大変
- 火災の心配がある(消防法的な届け出が必要)
上記の点から、弊社では水槽のワイヤーカット放電加工機を採用しております。
ワイヤーカットで加工できるもの
鋼板・ステンレス板・銅板・アルミ板などの薄く、加工が困難なものや硬い金属まで、
導電性のある素材であればどんなものでも加工することができます。
金属の種類につきましては、 マシニングって、何ぞや?
のページに雑学として掲載しております(^^)d 良かったらご覧下さい。
加工の手順を簡単にご説明させていただきます
お客様から図面やデータをお預かりし、パソコンでプログラミングから始めます。
ワイヤーカット機に素材が乗っている様子
取り扱う素材は、時計の針の様な繊細で小さなものから大きな金型まで様々です。
弊社にはクレーンがございませんのでリフトで持ち上げられる範疇を超える素材に関しましてはご対応出来かねる場合がございます。
ワイヤー線について
普段、多くの場合で使用しているワイヤー線は
Φ0.20mmとΦ0.25mmです。
ワイヤーカット線を上下に繋いだ状態で加工します。
このワイヤー線に電流が流れる事で、硬い金属を切る事が出来ます。
ワイヤーカット放電加工機はワイヤー線を機械の上下でつないだ状態で使用する為、素材の端からの加工でない場合は、スタート孔(貫通したあな)を必要とします。
弊社では孔がない場合、NC細穴放電加工機を使用して貫通孔を加工する事ができます。
他にも、マシニングセンタ、形彫放電加工機、平面研削盤を保有しております。
切る、削る、彫るといった複合加工が可能です
ワイヤーカット機、稼働中の様子
弊社が使用するワイヤーカット放電加工機は全て、水を貯めた水槽の中で加工を行います。
加工スピードが速い、精密に切れる、といったメリットがあります。
ものにもよりますが、水中でも火花を見ることがあります。
ただし、速いと言っても電動ノコギリ等でものを切る様な速さではありません(==;)
一言で金属といっても沢山の種類があり、それぞれに導電率が違う為、どの様な加工で
どれ位時間がかかるのかは、一概には言えないのですが、数時間~数日要するものまで
加工ごとに様々です。素材の導電率以外にも大きさ(特に高さ(厚み))で変わります。
弊社は長年の経験とノウハウでお客様のご希望に沿った加工のご提案が可能です。
素材の性質や硬さ、大きさ等、個々の条件により加工時間は変わります。
弊社はワイヤーカット加工専門に長年やってまいりました。
その経験と実績がございますので、加工についてご不明な点がございましたらお問合せ下さい。
やってるコトはカタいけど、柔らかアタマで考えます(^^)
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
ここからは、おまけの余談です
先代社長である父が、務めていた会社から独立し、弊社を創業して最初に導入したワイヤーカット放電加工機には、
機械本体にコンピューターが内臓されておらず、プログラムを作る専用の機械が別にありました。
紙製のリボンに穴をあけたものを使って音を奏でる、旧式のオルゴールをご存じでしょうか?
それによく似た感じで、穴をあける専用の機械を使って紙製リボンをプログラムにしていきます。
穴があけられたリボンを機械本体にセットして加工するのですが、
リボンの長さには限界があって何度も交換が必要だし、1つの穴のミスで失敗する事もあります。
失敗してもくじけず、どこがダメだったのか、どうすれば上手く出来るのか、
常に創意工夫を考え、アイデアが浮かべばチャレンジしてみる。
短気なのに気が長い。そんな父親の姿が今も目に焼き付いています。
数年間、同業・他業種の仕事を経て、1997年に父親の元に後継者という形で入りましたが
堅物の父は『聞くより、見てやって覚えろ』という、the・昭和な人で(ーー;)
メーカーの合宿に参加したり、取扱説明書を手に持ちながら独学で機械を操作する日々。
考え方の違いから、意見がぶつかる事もしばしばありました。
ちょうど、その頃から工作機械が革新的に進化し始めます。
リボンからパソコンを使ったプログラミングになり、データの移し替えも
フラッシュメモリーやUSBへと次々に変わっていきました。
ワイヤーカット放電加工機はプログラムさえ作っておけば、ワイヤー線の交換以外は
ずっと自動で加工する機械なので、1人で何台も動かす事が出来ます。
古い機械から新しい機械へと入れ替えたり、新しい機械を追加していくうちに、
父と2人で結構な台数を使う様になっていました。
入れ替えの際に来られていた機械メーカーのメンテナンスの方が、古い機械を見て
『こんな機械、初めて見ます(・・;)』
と、びっくりされる事も度々ありました。
メーカーさんに記念館があれば、きっと展示されるのだろうなぁと思いました(笑)
機械の進化と反比例して体調を崩した父に代わり仕事を受け継ぎ、2005年に法人化しました。
経営は初めての事で戸惑いの連続で失敗も沢山しましたが、父はあえて口出しせず
私がどうしても困った時にだけ相談にのってくれたのが、本当に有難かったです。
機械の入れ替えや古い機械の取扱説明書を見ると、父の苦労した歴史や機械の進化など様々な思いが巡ります。
よく、この機械でここまでの加工が出来たなと、父の技術に感心させられる事も多くありました。
機械の進化はこれからも続きます。今までと違う操作も沢山出てくると思います。
覚える事も新しい単語も増えて、自分に覚えきれるだろうか、と不安になる事もあるでしょう。
それでも、やっぱりものづくりの技術が向上するなら、触ってみたいし、やってみたい。
父親の姿を見て受け継いだのは、そんな職人の感覚なんだと強く思います。
自分も『よく、この機械でここまでの加工が出来たな』と思って貰える様に精進していきたいと思います。
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有限会社フジムラ
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